リチャード・P・ルメルト 村井 章子
カリスマ的なリーダーや美しいビジョンはいらない。
必要なのは良い戦略である。
この文は、本書の筆者メルトル氏の思い。
読む価値ありでしょ。
本書の著者メルトル氏といえば、経営戦略論の大家らしい。
どれほど有名人化は、訳者あとがきによると以下のとおり。
- ハーバードビジネスレビュー「The 50 Most Influential Management Gurus 2011」で、第20位に。(公式サイトはここ。また、日本語ランキングはここ。)
- 著作「Strategy, Structure, and Economic Performance」は名著(「多角化戦略と経済成果」として日本でも出版)
- The economistは経営概念や企業活動に影響を与えた25人に選出
現在も、School of Managment, UCLA Andersonで
教授として活躍しているようです。
参考までに、原書のタイトルは
「Good Strategy, Bad Strategy:The Difference and Why it Matters」。
他、過去の著作などは以下のとおり。
Good Strategy/bad Strategy: The Difference and Why it Matters Richard Rumelt | Fundamental Issues in Strategy Richard P. Rumelt | Strategy, Structure, and Economic Performance |
本書の原書 | 翻訳本「多角化戦略と経済成果 」 |
ところで、本書の内容は、
下記ブログ記事が上手にまとめてくれています。
また、下記の動画は英語ですが参考になります。
London School of Economics and Political Scienceでの講演です。
僕自身が一番気になるのは、
世の中にどうして、良い戦略と悪い戦略があるのか。
皆、良い戦略を立てようと日夜努力しているはずです。
それなのに、良い戦略は少なく、悪い戦略ばかり。
メルトル氏いわく、「戦略がない」ものすら多い。
例えば、パナソニック、ソニーやシャープの家電各社の戦略。
今、これら家電各社が赤字にあえいでいます(例えば、これ)。
しかしこれらの企業の人たちは皆優秀だし、
その中でも優秀な人たちが、
一定の予算を使って経営戦略を作ってきたと思います。
そして、
少なくとも、これらの会社で戦略を作った人々は
本書の著者メルトル氏の論文含め、
多くの経営戦略本を読み込んできた人々だと思います。
それなのに、戦略は良い戦略ではなかった。
おかしいと思いませんか?
それだけ、戦略を立てることは難しい証左
と言われれば、それまでなのですが。
ただ、本書にはそのヒントがあります。
ここが、僕が本書を素晴らしいと思うところです。
しかし、それは、あくまでヒントです。
つまり、僕が腑に落ちるところまでの納得ではなかった
ということです。
その部分は本書の4章「悪い戦略がはびこるのはなぜか」です。
以下、同4章の小見出しです。
|
それぞれの項目を読み進めると、示唆に富んでいます。
ただ、
2つ目の「穴埋めチャート式で戦略をこしらえる」。
この点は、そのポイントがよく分かりませんでした。
リーダー論と絡めてその論旨が展開されるのが、その理由です。
リーダー論とテンプレート?
一緒に語る必要性を最後まで読み解けませんでした。
どなたか、本来の意味を教えてください。
ところで、先の疑問に戻って、
なぜ優秀な人々が戦略を立案するのに、
悪い戦略が立案されるのか。
本書から見えてくるその答えは、
戦略立案能力以外の「政治力」や、
アンチ・ポジティブシンキングのような「思考方法」
になるようです。
つまり、
戦略立案の技術論ではない部分に、その理由がある。
これは、実務者でもある著者の指摘と考えると、
「ドキッ」としてしまう部分であり、
非常に示唆に富んでいる指摘として、記憶したい点です。
本書は多くの人が指摘しているとおり、
経営戦略について各要素が体系的かつバランスよく
説明されています。
僕のような経営戦略論を時々かじる必要がある人には、
おススメです。
以下は本書の目次です。
本書の目次: 序章 手強い敵 |
以下、関連書籍
良い戦略、悪い戦略 リチャード・P・ルメルト 村井 章子 by G-Tools |
0 件のコメント:
コメントを投稿