2013年10月13日日曜日

必要なのは良い戦略である。:【読書メモ】良い戦略、悪い戦略

良い戦略、悪い戦略
リチャード・P・ルメルト 村井 章子
4532318092

カリスマ的なリーダーや美しいビジョンはいらない。
必要なのは良い戦略である。

この文は、本書の筆者メルトル氏の思い。
読む価値ありでしょ。

 

本書の著者メルトル氏といえば、経営戦略論の大家らしい。

どれほど有名人化は、訳者あとがきによると以下のとおり。

  • ハーバードビジネスレビュー「The 50 Most Influential Management Gurus 2011」で、第20位に。(公式サイトはここ。また、日本語ランキングはここ。)
  • 著作「Strategy, Structure, and Economic Performance」は名著(「多角化戦略と経済成果」として日本でも出版)
  • The economistは経営概念や企業活動に影響を与えた25人に選出

現在も、School of Managment, UCLA Andersonで
教授として活躍しているようです。

参考までに、原書のタイトルは
「Good Strategy, Bad Strategy:The Difference and Why it Matters」。
他、過去の著作などは以下のとおり。

Good Strategy/bad Strategy: The Difference and Why it Matters
Richard Rumelt
1846684811
Fundamental Issues in Strategy
Richard P. Rumelt
0875843433
Strategy, Structure, and Economic Performance
本書の原書   翻訳本「多角化戦略と経済成果


[DULTON]ダルトン トピアリー ボール S

ところで、本書の内容は、
下記ブログ記事が上手にまとめてくれています。

また、下記の動画は英語ですが参考になります。
London School of Economics and Political Scienceでの講演です。

良い戦略悪い戦略―LSEでの講演

[DULTON]ダルトン トピアリー ボール S

 

僕自身が一番気になるのは、
世の中にどうして、良い戦略と悪い戦略があるのか。

皆、良い戦略を立てようと日夜努力しているはずです。
それなのに、良い戦略は少なく、悪い戦略ばかり。
メルトル氏いわく、「戦略がない」ものすら多い。

例えば、パナソニック、ソニーやシャープの家電各社の戦略。
今、これら家電各社が赤字にあえいでいます(例えば、これ)。

しかしこれらの企業の人たちは皆優秀だし、
その中でも優秀な人たちが、
一定の予算を使って経営戦略を作ってきたと思います。

そして、

少なくとも、これらの会社で戦略を作った人々は
本書の著者メルトル氏の論文含め、
多くの経営戦略本を読み込んできた人々だと思います。

それなのに、戦略は良い戦略ではなかった。
おかしいと思いませんか?

それだけ、戦略を立てることは難しい証左
と言われれば、それまでなのですが。

[DULTON]ダルトン トピアリー ボール S

 

ただ、本書にはそのヒントがあります。
ここが、僕が本書を素晴らしいと思うところです。

しかし、それは、あくまでヒントです。
つまり、僕が腑に落ちるところまでの納得ではなかった
ということです。

[DULTON]ダルトン トピアリー ボール S

 

その部分は本書の4章「悪い戦略がはびこるのはなぜか」です。
以下、同4章の小見出しです。

  • 困難な選択を避ける
  • 穴埋めチャート式で戦略をこしらえる
  • 成功すると考えたら成功する

それぞれの項目を読み進めると、示唆に富んでいます。

ただ、
2つ目の「穴埋めチャート式で戦略をこしらえる」。
この点は、そのポイントがよく分かりませんでした。
リーダー論と絡めてその論旨が展開されるのが、その理由です。

リーダー論とテンプレート?
一緒に語る必要性を最後まで読み解けませんでした。
どなたか、本来の意味を教えてください。

[DULTON]ダルトン トピアリー ボール S

 

ところで、先の疑問に戻って、
なぜ優秀な人々が戦略を立案するのに、
悪い戦略が立案されるのか。

本書から見えてくるその答えは、
戦略立案能力以外の「政治力」や、
アンチ・ポジティブシンキングのような「思考方法」
になるようです。

つまり、
戦略立案の技術論ではない部分に、その理由がある。

これは、実務者でもある著者の指摘と考えると、
「ドキッ」としてしまう部分であり、
非常に示唆に富んでいる指摘として、記憶したい点です。

[DULTON]ダルトン トピアリー ボール S

 

本書は多くの人が指摘しているとおり、
経営戦略について各要素が体系的かつバランスよく
説明されています。

僕のような経営戦略論を時々かじる必要がある人には、
おススメです。

[DULTON]ダルトン トピアリー ボール S

 

以下は本書の目次です。

本書の目次:

序章 手強い敵
第1部 良い戦略、悪い戦略
    第1章 良い戦略は驚きである
    第2章 強みを発見する
    第3章 悪い戦略の四つの特徴
    第4章 悪い戦略がはびこるのはなぜか
    第5章 良い戦略の基本構造
第2部 良い戦略に活かされる強みの源泉
    第6書 テコ入れ効果
    第7章 近い目標
    第8章 鎖構造
    第9章 設計
    第10章    フォーカス
    第11章 成長路線の罠と健全な成長
    第12章 優位性
    第13章 ダイナミクス
    第14章 慣性とエントロピー
    第15章 すべての強みをまとめる―NVIDIAの戦略
第3部 ストラテジストの思考法
    第16章    戦略と科学的仮説
    第17章    戦略思考のテクニック
    第18章 自らの判断を貫く

[DULTON]ダルトン トピアリー ボール S

以下、関連書籍

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