成毛真のマーケティング辻説法 (日経ビジネス人文庫)
成毛 真 日経MJ
何度も読み返す必要があり、読み返したいと思う書。
筆者が成毛氏だからそう思うのか。それとも、本書の内容がそう思わせるのか。少なくとも、本書にある事柄は今後の指針にしようと思う。
「辻説法」なんて憎い表現だ。
本書「マーケティング辻説法」は2005年の出版だ。マーケティング専門家から見れば、もう古い考えとなるのかもしれない。実際、当時は今のようにFacebookもTwitterもなかった。これらをツールとして使用しないマーケティング論はもう古いかもしれない。
しかし、本書の著者は元マイクロソフト日本の社長だ。Windonws95を日本で華々しくデビューさせた仕掛け人だ。著者の立場であれば、既に10年後や20年後のネット社会をある程度予想できる情報は手元にあったはずだ。それなのに、本書はWEBマーケティングなどに、全く触れない。
ここに本書の真髄があるように思う。辻説法というタイトルからも連想できるように、本書は「広く一般向けにその真理を伝える」ことを狙っている。だからツールではなく、真理について語っていく。だから5年以上たった今でも本書は古いと感じさせないのだろう。
本書から読みとれるマーケティングの真髄とは、「『がんばる』よりマーケティングを」という言葉に全てが表れている。これまでのコツコツと積み上げるだけでは、自己満足と等しい。それよりも相手との関係性により注力する必要があるというのが、本書の主張だ。
とりわけ、本書を手にして「価値あり」と思わされたのは、マーケティングを学びたければ戦争論を学べというメッセージだ。戦争もビジネスも、「次がない」という点と「神風はない」という点で共通項を持つ。だから戦争論にあるノウハウは商売上、非常に有効だ。
戦争論を柱に据えるからこそ、各種の教訓が見えてくる。
- 何を持って「勝ち」とするかー戦略と戦術を区別する。
- 二正面作戦は取らない。
- 背水の陣の法則ー全社一丸となって攻める。
- 1番手の失敗から学ぶー2番手企業は一点突破
如何に強い相手に勝つか。ここに成毛流マーケティング論の醍醐味があるのかもしれない。
ここで、再度最初の問いかけに戻りたい。「なぜ何度も読み返す必要があると思うか」。その答えは、強者に向かっていくヒントが本書にあるから。マーケティングとはそういうものなのだろう。
成毛真のマーケティング辻説法 (日経ビジネス人文庫)
成毛 真 日経MJ
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