IKEA 超巨大小売業、成功の秘訣
リュディガー ユングブルート R¨udiger Jungbluth
最近の僕の関心事は、企業の海外展開の方法。
極論すれば、その方法は2つに分かれると思う。極力現地のマーケットに合わせるか、世界統一モデルで展開するか。
IKEAがとった戦略は後者。本国のスウェーデンを強調し、世界統一モデル、地元モデルの採用は殆どない。
IKEAといえば、世界展開する家具販売の会社。海外展開の基本方針がどうなっているのか、知っていて損はない。「スェーデン的なものもを主張した、世界統一モデルで展開する」という、この基本哲学を。
まず「スェーデン的なもの」は、イケアの店舗カラーがスェーデン国旗の色と同じことが象徴している。「IKEA=スェーデン企業」であることを強烈に海外で主張することで、世界にある無数の企業の中で、IKEAの存在を際立たせることに成功している。
この点は「グローバル化」という言葉の影で、日本的なもを覆い隠そうとする傾向が強まるなか、ま逆の方針であり、面白い。
また、IKEAのもう一つの特徴は「ご当地モデル」が同社の商品開発に皆無な点。本書でも強調されているが、「統一モデル」が商品開発の基本路線となり、進出先の消費者のテイストを加味した「ご当地モデル」の商品開発は例外中の例外になっている。理由は、お手頃の価格が実現できないから。なるほど。
これも、「海外展開の成功のカギは、現地ニーズの把握」と大合唱されている昨今の傾向と異なり、面白い。
このIKEAの方針をベトナムに進出する日系企業と比較すると面白い。
例えば、ベトナムへ進出するエースコック社のインスタントラーメン。同社の戦略はベトナムで現地スタッフ主導でご当地商品の開発ができたことが大成功の要因と言われている。IKEAとは、ま逆の戦略だ。
一方、ヤクルト。同じ食料品のカテゴリーにありながら、味も販売方法も変えずベトナムで挑戦を続けている。日本的なものを全面には出していないが、IKEAと似た海外展開戦略だ。
どちらのやり方にも絶対もなければ、正解があるわけでもない。結果的に成功すれば、その方法が正解。現実世界の面白さか。
他、本書でも強調されるグローバル企業としてのIKEAの特徴は商品デザイン。上記の現地の”テイスト”としてのデザインもあるが、それに加え「デザインは運搬に従う」というデザイン思想。
確かに家具は常に運搬の問題と向き合っている。机や椅子など、運搬時には隙間が大量発生するのに、運搬量が非常に限れてしまっている。だから「運搬しやすいデザイン」が同社の商品開発にとって欠かせないもにになっているようだ。
家具という商品特徴もあると思う。ただ、あらゆる側面が考慮されて海外展開が実現されていたり、コストと利益が形成されている象徴のように思えた。
なお、同社初の海外進出先は、当時東側と言われていたいたポーランド。製造拠点を求めてのものだった。そして、その後の販売拠点として選んだ先が西ドイツ。当時は冷戦時代。”東”側と言われていた国でモノを作り、”西”側で販売する、なんたも大胆な戦略だ。本書では特に触れないが、むしろ、ここにIKEAの真髄があるように思えてしかたない。
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