お金の流れが変わった! (PHP新書)
大前 研一
大前研一氏の本というより、これから儲かると思う国の予想特集として読んでみた。門倉氏の「世界不況を生き抜く新・企業戦略 (朝日新書)」と合わせ読みだと、面白いかも。
世界には今、投資先を失ったカネが4000兆円ほどあるらしい。これらのカネが今後どこへ向かうのか。本書が取り扱うテーマだ。
言い換えれば、今後の投資先として儲かる国と分野は何か。平たく言えば、そんな感じだたと思う。
必然、どの国をその代表格として予想するか気になるところだ。
本書が予想するのは「VITAMIN」諸国。ネーミングがよく作り込まれている。
ここでVITAMINとは以下10カ国。
- ベトナム(Vietnam)
- インドネシア(Indonesia)
- タイ(Thai)
- トルコ(Turkey)
- アルゼンチン(Argentine)
- 南アフリカ(South Africa)
- メキシコ(Mexico)
- イラン(Iran)
- イラク(Iraq)
- ナイジェリア(Nigeria)
それであれば、有名どころと比較してみようと思い作成したのが、下の図だ。有名どころとしては、ゴールドマンサックスの「Next11」と門倉氏が提唱する「VISTA」を使用した。
ここで、「可能性」欄で「◎」付いている国が3つ全ての評価で「儲かる!」とされたことになる。
「◎」が付いた国は3カ国になる。ベトナム、インドネシアそしてトルコだ。
そして、対抗として「○」がついた国が5カ国。南アフリカ、アルゼンチン、メキシコ、イラン、ナイジェリアだ。
参考まで、門倉氏が提唱するVISTAの代わりに、同氏の著書「世界不況を生き抜く新・企業戦略」で予想する国を使用すると、本命にイランとナイジェリアの2カ国が繰り上げになる。石油が出る国がやはり強い。
ここで新興国予想の難しさが見える部分がある。エジプトだ。
ゴールドマンサックスと門倉氏は共に成長が期待できる国としてエジプトをそのリストに加えていた。現に非常に好調にエジプトはその経済成長を続けていた。
しかし、20111年1月のエジプトで起こった動乱は記憶に新しい。エジプトでは経済成長は一旦お預け状態になっている。
新興国では、「政治の安定」が先進国と比較して、経済成長を占う上で、より大きなリスク要因となる。経済指標や資源の有無だけを見ていると、ドでかい危機に直面する可能性がある。
ところで、本書の初版は2011年1月5日。エジプトの動乱が同年1月25日なので、かろうじて動乱前の出版ということになる。そして、本書はエジプトを含んでいない。
これを、大前氏の情報力とみるか、単なる偶然と見るか。答えは闇の中だ。
お金の流れが変わった! (PHP新書)
大前 研一
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