キュレーション 収集し、選別し、編集し、共有する技術
スティーブン・ローゼンバウム 監訳・解説:田中洋
「Google(ネット検索)は終わった。」とは本書の言葉。
これからは「キュレーションの時代」だとか。
「『キュレーション』とは一体何だろう?」と、日々、ノンフィクション本のレビューサイト「HONZ」を読みながら思っていました。今、「キュレーション」って言葉が日本では流行語なのかな?という疑問も含めて。
本書によると、アメリカではこの「キュレーション」という考え方が大流行中。ただ、日本ではまだ馴染みが薄い言葉?今年の1月に日本へ一時帰国した際、「キュレーション」という単語は殆ど耳にしなかったので。ということは、これから日本でも流行する考え方に代わっていくかもしれません。
本書の一番の特徴は何といっても、日本語版出版までの期間の短さでしょう。本書は原書「Curation Nation」出版の2011年2月から10カ月後、2011年12月に出版されました。始めから日本語版の出版が予定されていたかの如くの早業。アメリカのトレンドを取り扱う本書についてはありがたい措置です。
さて、本書のメッセージはひと言で言えば、これからは分野に詳しい人が取捨選択した情報に価値が生まれる時代になるということです。
たとえば、近所の美味いラーメン屋はどこか?とうい問題。この問題に答えられるのは、専門知識をもった伝統的なキューレターである図書館の司書でも博物館や美術館の学芸員でもない。ましてやミシュランガイドでもない。もっと踏み込むと、Google(ネット検索)など、もう過去の存在。
本書の答えは、そのニッチな情報に精通した人だったり組織。これらをひとまとめにして「キュレター」と呼び、この情報発信するキューレター自体に価値が生まれるというのが本書の主張です。
この程度のメッセージは巷に溢れるメッセージでしょう。ここで、本書の2番目の特徴です。このキュレター機能を持つサイトを大きく2つに分けて、本書のキュレーション論を展開させていきます。キューレーションのみを行うサイトと、キューレーションとクリエーションの2つを行うサイト。
例えば、
- キュレーションのみのサイト(リンクや抜粋を集め整理しているサイト):
- キュレーションとクリエーションのサイト(独自記事とリンクや抜粋を集めているサイト)
ただ、これらサイトはかつての巨大メディアの存在を脅かすほどの存在に成長しています。本書の「キュレーションが今後のカギを握る」という主張が独りよがりではないことも、良く分かってきます。
ところで、本書の指摘にあるGoogle(ネット検索)は本当に過去のものという主張。これがどこまで今後の展開を含め、本当にそうなるのか?という疑問。興味をそそられます。
Googleのこれまでの軌跡を描いた「グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ」にもあるのですが、Googleも日々検索精度の向上に対し、相当なインプットを実施しています。こちらを読むと、まだまだGoogleの無敵状態が続くんではとさえ思えます。
単純に、Googleは過去のものと言い切ってしまっていいのかな?現時点では人間の方がGoogle検索よりもかゆい所に手が届く、情報の収集、選別、編集、共有という点では圧倒的に優っていると思います。一方、Google(ネット検索)にも近い将来それを実現する能力を備えてきそうな予感もしてきます。
どっちが勝つんだろう?
とりあえず半分実験で、当ブログでもアセアン・ベトナムまとめ情報を毎週一回アップしてみようと思います。第1回は「気になったニュースやコラム:2月11日から2月18日のベトナム・アセアン」
本書の主張では、僕自身の専門性がアップしていけば、Googleに勝てるということですが…。
キュレーション 収集し、選別し、編集し、共有する技術
スティーブン・ローゼンバウム 監訳・解説:田中洋
by G-Tools
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