2012年1月13日金曜日

ベトナムは14位:FDI信頼度指数ーA.T.カーニー

 

 

 

A.T.カーニーより、有望な都市先ランキングの発表がありました。

ベトナムも14位にランクイン。他ASEAN諸国では、シンガポール、タイ、インドネシアがランクインです。

 

 

A.T.カーニーは投資先信頼指数として、毎年「Foreign Direct Investment Confidence Index)」を発表しています。

日本ではあまりなじみのない指数ですが、ベトナムでは同社から発表される調査結果は頻繁に新聞紙上などでも取り上げられています。同社の他の調査でいくと、「Global Retail Development Index」なんかも、ベトナム人は大好きな調査です(日本語版PDFはここ)。

参考までに、2011年版は簡易調査レポートが日本語版英語版が同社のWEBサイト上で公開されています。また、2010年版はPDFで公開されています

FDI信頼指数ですが、以下のように実施されています。

【調査方法】

本調査は、海外直接投資(FDI)に関してグローバル企業大手CEO、CFO、FDI担当役員など企業のFDI意思決定者を対象に実施しました(2011年10月)。世界のFDI投資の90%の受け入れ国68カ国に関し、市場の観測や投資計画を聞き、今後3年間の企業のグローバルなFDIの傾向と海外戦略を予測するものです。調査企業は27ヶ国17の業種にまたがり、その売上総額は1兆ドル以上です。

 

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さて、調査結果は以下のようになっています。

 

中国・インド・ブラジ・アメリカ・ドイツがトップ5です。同レポートによると、上位5カ国が海外直接投資の約35%を毎年占める傾向にあります。また、上位10カ国が海外直接投資総額の50%を受け入れています。そのため、10位以内というのは、かなり魅力的な国といっていいでしょう。

そこで気になるのが、トップ10に最近注目されるASEAN諸国がどれだけ含まれているのか?また、ベトナムと比較してどうなのか。ベトナムに住んでいると、どうしても2番目の部分が気になります。

実際にトップ10にランクインした国は3カ国。シンガポール(6位)、インドネシア(9位)とマレーシア(10位)です。
シンガポールはASEAN拠点として、また金融のハブとして、マレーシアは特にアラブ首長国連邦とのアルミニウムプロジェクトがその主要因です。インドネシアは天然資源と国内消費マーケットがその魅力です。

ベトナムとの関連では、シンガポールとマレーシアにベトナムがランキングで負けるのは仕方がないところです。ベトナムに進出をするのは安い人件費を目的とする製造業なので、シンガポールやマレーシアに進出を検討する企業群とは異なります。

 

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ところで、ベトナム目線からみてショッキングな結果は、インドネシアがトップ10にランキングされていることです。しかも、昨年の20位から大幅なランクアップです。

インドネシアもベトナム同様、安い人件費を理由に製造業が大挙として押し寄せる国です。言ってみれば、インドネシアとベトナムはアセアン進出候補地として、真のライバル関係の国。その時、インドネシアだけがトップ10入りしたという調査結果を見ると、「ベトナム大丈夫か?これから」と少し不安にさせられます。

唯一の救いは、同調査結果にあるインドネシア進出の魅力に天然資源が含まれていること。天然資源産業という特殊産業がインドネシア人気を支えている構造が浮かんできます。この天然資源を除けば、ベトナムとインドネシアは進出先として、まだまだ激しいライバル関係の国と、願いたいです。

 

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その他、同調査でトップ25カ国としてASEAN諸国でランクインしているのはタイ(16位)とベトナム(14位)です。

タイは他の東南アジア諸国への部品・製品の供給基地としての魅力が回答されています。また、ベトナムは人件費と欧米へのアクセスが可能な大型タンカーが接岸できる港があることが指摘されています。

それにしても、政治動乱がありながらも16位にランクインしたタイは根強い人気です。なお、同調査が2011年10月に実施されたため、同年11月の洪水は加味されていないようです。

ベトナムはASEAN諸国で唯一、昨年の12位から今年は14位とランクを下げました。高インフレ、自国通貨安と財政赤字がその原因です。約20%ほどを記録した2011年のインフレは相当魅力度を落としたようです。

2012年ベトナム政府のインフレ目標は10%以下の1桁。巷の予想は13%。また通貨のドン安からドン高への反転などとは一切その兆しが見えません。さらに財政赤字は拡大しそう…。

ここで唯一2012年のベトナムマクロ経済に楽観的な見通しをしているのはJPモルガンです。2012年は安定化に向かうとしています。

ここ数年が投資先としてのベトナムの踏ん張りどころなのかもしれません。

ところで残念なことに、カンボジア、ラオスやミャンマーはまだランキングに登場しません。でも、ミャンマーは近いうちに躍り出てくるのではと思います。

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