2011年12月28日水曜日

2011年ベトナムの代表的なM&A10件

 

2011年のベトナム国内で代表的と言われるM&A案件の紹介です。

M&Aというより、資本出資の方がイメージに近いかと思います。(出所:Many M&A deals this year ‘impressive')

 

 

ベトナム国内で2011年に実施されたM&A案件は以下のようになります。ベトナム国内の中小企業対策として、また大企業の組織改革の一環として、ベトナムではM&Aが奨励されています。

 

1.IFCがVietinbankの株式10%を取得

IFC(国際金融公社)Vietinbankの株式10%を1億8200万ドル(約180億円)で取得しました。この契約は世界的な金融機関が成長を続けるベトナム市場への参入として典型的な動きとみられています。

また、カナダのNova Scotia銀行へも15%程度を売却予定だそうです。

ただ、現在ベトナムでは金融機関が乱立気味で、日系を含めた外資金融機関の進出は困難を極めているようです。

 

2.KKRがMasan Consumeに$1億5900万を出資

Masan Group

 

世界的なアメリカ投資ファンドKKR(Kohlberg Kravis Roberts)Masan Consumer株の10%、$1億5900万を出資しました。1株あたり$11で買い取ったようです。

KKRはベトナムへ初めての投資となります。また、ベトナム国内非上場企業へ対する投資額としては、過去最高を記録しました。

Masan ConsumerはMasanグループ(MSN)の企業で、Chinsu醤油、OmachiやTien Vuaヌードルなどの商品を製造・販売していることで知られています。

 

 

3. Masan ConsumerがVinacafe Bien Hoaを買収

vinacafe

Masan ConsumerVinacafe Bien Hoa(VCF)株の1300万株(50.1%)を1株あたり80,000ドン(約$3.8)で取得しました。

同社の2011年M&A投資金額は10.7兆ベトナムドン(約$5100万)に達しました。

 

4.ユニチャームがDianaの株式95%を取得

日本のユニチャームが同社タイ法人を通じて、Dianaの株式95%を約1.28憶ドルで取得しました。

Dianaはベトナム国内で生理用ナプキンや紙おむつのリーディング企業です。

 

5.FPTが子会社3社を統合

FPTが「ONE FPT戦略」に基づき、FPT SoftwearFPT ISFPT Tradingの3社を統合しました。同社は情報技術分野とテレコミュニケーション分野の統合を目指しています。

これら3社の株はFPTの20万株に転換されました。今後もFPT TelecomFPT Onelineの2社が統合される計画のようです。

 

6.VincomがVinpearlを吸収

2011年初頭にVinperal Da NangVinpearl Hoi AnとVincharmの3社がVinperalに統合され、その後VincomがVinpearlを吸収しました。

これらの両社は時価総額上位トップ5に入る企業であり、ベトナム企業史上、過去最大のM&Aです。合併した会社の資本金は5.5兆ドン(約275億円)、時価総額50兆ドン(約2,500億円)になった模様です。

 

7.ベトナム地場3銀行が統合

Saigon Commercial Bank (SCB)、Viet Nam Tin Nghiaと De Nhat Bank (Ficombankの3行が統合合併することで、同意しました。ベトナム国内初の金融機関の合併となります。

新銀行は10兆ドンの資本規模となることが期待されています。

2011年は金融機関の危機が叫ばれた年でもあり、財政基盤が脆弱な3行が苦肉の策として合併に至ったとの見方もあります。

 

8.CP PokphandがCPベトナムの株式71%を買収

タイのCharoen PokphandグループCharoen Pokphand Viet Namの株式70.8%を同社香港子会社に6.09憶ドル相当で売却しました。

これはベトナム国内で最大の企業売却ですが、外国企業により実施されたものとなります。

CPベトナムは家畜飼料や海産物養殖飼料メーカーです。

 

9.Xuan ThanhグループがVincom証券を買収

VincomグループはVincom証券の株式75%をXuan Thanhグループへ売却しました。Xuan Thanhグループは建設、不動産、タクシー、保険、セメント、鉱物や水力発電などを実施するグループ企業です。今後、Vincom証券はXuan Thanh証券として活動を開始します。

この買収は証券会社間の典型的な買収ケースとして、見られています。

 

10.DiageoがHalico社を買収

イギリス資本飲料メーカーDiageo社が同社子会社のStreetcar Investment社を通じ、Hanoi Alcohol(Halico)社の株式600万株を取得しました。1株あたり213,600ドン(約1,000円)は記録的に高額な数値であり、1.3兆ドン(約500億円)相当の取引と言われています。

株式の過半数はVinaCapitalグループ傘下のVietnam Opportunity Fund(VOF)によって、再買収されました。

Diageo社は「Johnnie Walker」、「Smirnoff」や「Baileys」ブランドの商品としても知られています。また、Halico社はハノイをベースにウオッカ製造でも知られます。

 

おわりに…。

とういうことで、2011年のベトナムにおける代表的なM&A10件でした。今後、益々ベトナムでのM&Aは増えてきそうです。でも、関連法令の準備なども進んでいなければ、本当の財務諸表などは入手できないと思われます。

いくらでも追加金額をぶち込む覚悟でM&Aを進める必要があると思います。

 

 

 

 

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